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by KK
10月11日(日)、「横濱ジャズプロムナード」に行った。
3年続けての参戦。お目当てはむろん、板橋文夫のステージ。
前半は北浪良佳(vo)、井上陽介(b)とのトリオおよびデュオで、後半はお馴染みの板橋文夫オーケストラ。
特に楽しみにしていたのは、「デューク・エリントン生誕110年記念」と銘打たれた後半。板橋オーケストラがエリントンのナンバーをどのように演奏するのか、期待に胸ふくらませて、いつもの関内大ホールに駆けつけた。板橋さんの演奏を聴いているとやたらとお腹がすくので(私だけか?)、おにぎり3個を買い込んで。


前半のステージで唸らされたのは、ノルウェーの作曲家グリーグの『ペール・ギュント』中の「ソルヴェイグの歌」。
叫びのような北浪良佳のヴォーカル、板橋・井上両名のフリーフォームのプレイが渾然一体となり(私は、時に荒れ狂う北欧神話の英雄たちのことを想起した)、荒々しくはあるけれども、確かに北欧の情感が醸し出されていることに感嘆した。
このような解釈の余地を残す、クラシックの懐の深さを再認識。

前半終了後、板橋さんの演奏を聴くため来浜されているのほほんさんとお目にかかり、ロビーで少々雑談。
昨日ライブハウス「ドルフィー」での板橋オーケストラの演奏は凄かったと聞き、期待いやが上にも高まる。


後半の板橋文夫オーケストラ、メンバーは以下の通り。

板橋文夫(p)、村井祐児(cl)、林栄一(as)、片山広明(ts)、吉田隆一(bs)、福村博(tb)、辰巳光英(tp)、大田恵資(vln)、瀬尾高志(b)、小山彰太・竹村一哲(ds)、外山明(per)
(片山さんのblog「LIVE & DRIVE 日記」に、当日のエントリ&画像があるのでご参照下さい!)

しかし、ノッケから45分以上にわたる「For Duke 2009」には、さすがに面喰った人も多かっただろうと思う。実際、演奏の途中で席を立つ観客もちらほら。板橋オーケストラの流儀を知らず、ただエリントンの名に惹かれて来場された方々はさぞかし、野蛮(?)きわまりない音楽と思われたことだろう。加えて今年は2ドラムで、例年以上に音が身体にずしりと来る。イチゲンさんには辛いだろうなと席を離れる人を横目で見ながら、私はアナーキーなステージを大いに堪能した。
とりわけ、「A列車で行こう」がよかった。古き良き時代の「A列車」ではなく、スピードと爆走感に溢れた「A列車」の演奏になっていて、草葉の陰でエリントン先生もさぞや喜んでいるだろうと考えたら、自然と笑みが浮かんできた。

アンコールは「フォー・ユー」。
昨年聴けなかっただけに、嬉しさひとしお。
終演後、JR関内駅へ向かって歩きながら、やはりラストはこう来なくちゃねと何度も呟く。
冷たい夜風が、興奮で火照った身体に、気持ちよかった。

*

元気をもらおうと横浜に行き、しっかり元気を頂戴して、帰って来た。

還暦を迎えた板橋さんがあれほど活力に溢れているのに、一回り以上年齢の離れた私がしょぼくれていて、どうする?

板橋さんとメンバーの皆さんにも、感謝!

* * *

板橋さんに関するエントリを仕上げたので、最近「YouTube」に上げられた動画をふたつご紹介。
両方ともソロ、そして両方ともガーシュウィンのナンバーです。




# by kreis_kraft | 2009-10-18 19:00 | ジャズ

高麗神社へ

9月7日(月)は、深酒した翌朝の常、目覚めは早かった。身体がいくらか重い。
バスタブにお湯を溜め、浴槽に身体を沈め、時間をかけて汗を出し、アルコールを抜く。
バイキングの朝食をたっぷり、ゆっくり味わい、出発予定時間まで部屋で朝寝。
目覚めたときには身も心もすっきりと、活動モードに切り替わっていた。

チェックアウトを済ませ外に出ると、雲ひとつない晴天。
日差しはきついものの、時おり吹き来る秋風は湿気を含んでいない。
絶好の行楽日和だ。

*

高崎駅から10時27分発高麗川行きの八高線に乗り込む。一度乗ってみたいと思っていた路線だったのだ。
とはいっても車窓からの眺め、特筆に値するものはなし。単調な田園風景に飽き、新聞や雑誌を読んでいるうちに、高崎を出て1時間半後、電車は高麗川駅に到着。
何の変哲もない小さな駅である。
高麗神社へ_a0038908_11098.jpg
ここから徒歩約20分と書いてあったなと思いながら、駅を背にして立派に舗装されている道を行く。
ひたすらまっすぐ歩き、突きあたりを右に曲がる。時おり大きなダンプカーが通り過ぎる。
が、少し歩いて左に曲がって側道に入ってから次第に、田舎の気配が漂い始める。
高麗神社へ_a0038908_1171093.jpg
この橋を渡ってまもなく、大きな駐車場が視界に入ってくる。
参拝者が多いのだな、と、まず思った。


高麗神社
渡来人の足跡を今に残す地として、かねてから関心があったのである。
高麗神社へ_a0038908_12103332.jpg
神社の縁起については、境内の説明書きが簡潔にして要を得ていると思うので、画像でそのまま紹介することにする。
高麗神社へ_a0038908_12154349.jpg
「日本書紀」によると高麗王若光は666年、高句麗の使者として来日したものの、故国の滅亡の報を得て帰国の機会を失い、そのまま日本にとどまることを余儀なくされたという。
その後703年に朝廷から「王」の姓を賜い、716年には武蔵国に新設された高麗郡の首長として1799人の渡来人と共に当地に赴き、武蔵野の開発に力を尽くした ― あとは上の説明書きの通りである。

いにしえのことではあるものの、よくよく考えてみれば使者として来日してから高麗郡に来るまで50年の月日が流れている。
この間、亡命者として、異郷でどのような日々を過ごしていたのか。
故郷喪失者の悲哀を抱えながら、それでも前向きに生きようとしていたのか。

お休み処のベンチに腰を下ろし、想像をさまざまに巡らしてみる。
正解があるわけでも、ないのに。

*

神社のパンフレットで初めて知ったのだが、この神社は別名「出世明神」とも言われているらしい。
特に浜口雄幸、若槻禮次郎、斉藤実、小磯国昭、幣原喜重郎、鳩山一郎らが当社参拝後相次いで総理大臣となったことから「出世明神」と広く知られるようにもなりました。
(高麗神社公式サイト「高麗神社の由緒と歴史」より引用)
なるほどそういった功徳を求める参拝者があとを絶たないのだなと思いつつ、参拝した名士の名が記されている木札を眺めてみると、感嘆の声しか出てこない。
この多士多彩な顔ぶれはどうだろう。
高麗神社へ_a0038908_1329355.jpg
壮観である。太宰治、小磯国昭、野田宇太郎、折口信夫の名が見える。また、上原正吉は大正製薬社長として辣腕をふるった人物であることは周知の通り。
小説家の横に政治家がいたりと、秩序なく並べられているのが、面白い。
他にも、
高麗神社へ_a0038908_13393082.jpg
浜口雄幸、若槻禮次郎の間に、川島浪速・芳子親子(といっても芳子にとって浪速は養父であるが)の木札が置かれていたりする。
この人名簿の前にいるだけでも飽きなかった。

その中で、一番印象に残ったのが、この方である。
高麗神社へ_a0038908_13504085.jpg

司馬遼太郎「故郷忘じがたく候」(1968年)に印象的に描かれた第十四代沈壽官氏のご子息である。
高句麗滅亡からおよそ930年ののち、同じく異郷で過ごすことを余儀なくされた沈氏の末裔たる十五代沈壽官氏も高麗神社に参拝されたのかと、私は深い感慨を覚えずにはいられなかった。

*

あっという間に、駅に戻る時間が迫ってきた。人名簿の前で時間を取り過ぎた。
今さら「出世」を望む気はなかったが、せっかく来たのだからと、ほどほどで結構ですからお願いしますと頭を下げ、妻、娘、母にお守りを求め、神社を後にした。

道すがら、再訪を誓った。

今度は半日はみておこう。1時間半なんてあっという間だ。
そして時節は来年、高麗の里の巾着田に曼珠沙華の花が咲き乱れる頃がいい。さぞかし綺麗なことだろう。

そんなことを思いながら、13時52分八王子行きの八高線に乗り込んだ。
# by kreis_kraft | 2009-09-10 00:56 | 旅行

高崎へ

群馬県高崎市に行く用事ができた。
所用を済ませたあと、当地在住の友人に迎えを頼み、市内を案内してもらうことになった。

高崎には一度も降りたことがなく、信州・越後に行く途中、通り過ぎるだけの街だった。
せっかくの機会である。ゆっくり一泊して、観光および郷土料理を楽しんで帰りたいと、高崎行きが決まった直後、その友人にお願いしていたのである。

車の中で「高崎には特に見るべきところはないですよ」と30年以上住んでいる友人は言う。
格別においしい郷土料理もありませんが一応ご案内しますと、いささか気弱な物言いである。

観音山を登り街を一望したあと、駅近くのホテルに連れて行ってもらい、あとで迎えに来ますと一旦別れる。
18時半、連れて行ってもらったのが、錦山荘という温泉旅館の食事処
創業80年、「高崎の奥座敷」と呼ぶにふさわしい、山の中の風情のある建物である。

― しょ、食事だけでも高そうじゃない?

よほど私の声が不安に満ちていたのか、友人はクスリと笑い、

― 大丈夫。決して高くありませんよ。

窓際の席に座り、早速メニューを凝視。

― KKさん、やはり「おっきりこみ」を食べなきゃね。

― オッキリコミ?それが郷土料理なの?

― そうです。煮込みうどんの一種です。群馬の名物といったらうどんですから。

そこで、味噌味「肉おっきり膳」(924円)を注文。醤油味もあったが、身体があったまりそうな味噌仕立てにしたのだ。
加えて、これも名物でしょうと「みそおでん」(136円)も注文。
高崎へ_a0038908_16562898.jpg
あつあつのコンニャクに味噌。まずかろうはずがない(私は味噌田楽が大好物なのだ)。
そして、お目当ての「おっきりこみ」登場。
高崎へ_a0038908_16564619.jpg
私の拙い撮影技術では伝わらないかもしれないので強調したいが、うどんが入っている鉢はかなり大振りである。うどんも具も多量で、結構ボリュームがある。

群馬県人はこれを平然と平らげるのだろうか?
しかもこのお膳にはナメコが載っているご飯も付いているのだ。
箸をつける前から、友人に助太刀を求めたことは言うまでもない。

肝心のお味だが、これが非常に美味だった。
幅の広いうどんは味噌の汁とよく絡み、肉・根菜類との相性もとても良く、とりわけ汁を吸った大根が旨かった。

華やかの欠片もない一品ではあるものの、素朴かつ実直な味が、好ましかった。
そして、ふたりともお腹一杯になった。

― 冬はご存知の通り、上州名物「空っ風」が吹いてとにかく寒いんです。身体が温まる食べ物が必要だったのでしょうね。

*

錦山荘を出て、運転のためアルコールを控えていた友人のため、改めて駅前で飲み直し、0時半過ぎまで。
友人と別れてから、八高線の発車時刻を確認するため、千鳥足で高崎駅へ。
時刻表を見たら1時間に1本という時もあり、乗り遅れたら大変だと思ったら、少し酔いが薄らいだ。


# by kreis_kraft | 2009-09-09 18:20 | 旅行

リサイクル自転車、購入

私の住んでいる市では、月1回リサイクル自転車の販売が行なわれている。

「リサイクル自転車」、元は放置自転車。
それがしかるべき手続きを経て民間に払い下げられ、業者さんが修理をして、売り物にする。
むろん新品とはいえないので、かなり格安。当然のことながら人気が高い。

つい最近、販売日だというので、朝も早よから娘を連れて販売所へ参上。
「抽選後販売」ということだったので、それなりに希望者はいるのだろうなと覚悟していたが、抽選時間15分前に赴いたところ、結構な人だかり。娘と目を見合わせ、急ぎ足で最後尾に並び、50番台の整理券2枚を受け取った。
結局70枚ほどの整理券が配布された模様。

*

時間が来てお店の方より説明を受ける。

整理券の番号順にガラガラを回していただきます。
黄色の玉がアタリ、赤い玉がハズレです。
黄色の玉には番号が記してありますのでその番号順に自転車を選んでいただきます。
選んだ方は防犯登録をなさったあと、代金を支払ってお帰り下さい。


自転車は33台あった。うち数台が折りたたみ式で、他はごくスタンダードなタイプ。
ギア付のものもあり、それらはいくぶん割高であるが、新品で買うよりはるかに安い(新品の3分の1、いや4分の1以下の値段だろう)。
ガラガラを回す前にそれらの自転車を眺めてみたのだが、さすがに「新品同様」とはいえないものの、丁寧に修理が施され、新品のカギが付けられた自転車は、立派に「商品」となっていた。

自転車をしげしげと見ていた娘が、不思議そうな顔で、私に言う。

― ホントにここにある自転車、すてられてたの?

― おとうさんも信じられないよ。お店の人が一生懸命きれいにしたんだろうね。

― あの自転車がいいな。

と、娘が指差した先には、ピンクのママチャリ。

― おかあさん乗るのにピッタリ!

― おいおい、おとうさんも乗るんだぞ。

そして娘と、ふたりのうちどちらかが絶対に黄色の玉を出す!と誓い合い、抽選のガラガラが鎮座ましますテーブル近くに陣取った。

*

抽選は粛々と進んでいく。
私たちよりずっと早く来て並んだ、整理券番号の若い方々に赤が出ることが多く、黄色が出たとしてもその番号が大きいものが多く、仕方ないとはいえ気の毒なものと同情したり、3人家族全員が赤玉を出したときは、周囲に落胆が伝染するかのようだった。
反面、整理券番号40番台で単身やってきていた方がすんなり黄色の玉を叩き出す。そしてそこには「3」と一ケタの選択順位が記されていたりと、抽選とはそういうものではあるのだが、まったく理不尽なものだと思わずにはいられなかった。

ついに、50番台に突入し、順番が迫ってきた。
娘が不安そうな顔で私を見上げる。
「大丈夫、はずしたら来月また挑戦すればいいんだよ!」と明るく言ったら、娘はにっこり笑ってくれた。

そして、私たちの抽選の順番が来た。
娘が先である。ゆっくりと取っ手を回して一回転。
カタリと音がして、受け皿に出てきた玉は…黄色!それも、一ケタ台の選択番号!

― おとうさん、やったよ!

得意げに私を見る娘。
ああ、これでふたりでサイクリングも出来ると嬉しくなって、私はいささか手荒に娘の頭をぽんぽんと叩いてしまった。

次いで、私の番。
娘より若い番号の黄色玉を出したいと思ったものの、真剣さ皆無状態でガラガラを回したところ、あえなく赤玉。
まあいいかと思いながらも、本当に俺はヒキが弱い人間だなぁと苦笑い。

*

残念ながらピンクのママチャリは、私たちが選ぶ前に売約済となってしまった。
が、「これもいいね」と娘が言っていた第2希望の自転車が残っていたので、即決。

手続きを済ませ、念入りに修理をなさっただろうお店の方にありがとうございましたとお礼を申し上げ、意気揚々と引き上げた。

*

帰りの道すがら、娘が私に訊く。

― 乗り心地、いい?

― うん、とてもいいよ。放置されていたなんて信じられないな。

すると、しばらく黙っていた娘、ニッコリ笑って、こう言った。

― うちに来たんだから、大事にしてあげようね。

リサイクル自転車、購入_a0038908_23554548.jpg

# by kreis_kraft | 2009-08-29 23:56 | 雑記
電車内で、思わず噴き出した_a0038908_074436.jpg

ルミネの中吊り、素晴らしいセンスです。
参りました。。
# by kreis_kraft | 2009-08-28 23:59 | 雑記