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by KK

板橋文夫オーケストラ@横浜ジャズプロムナード2007

「カルメン・マキ×太田恵資×板橋文夫」グループ終了後、引き続き関内大ホールに留まり、板橋文夫オーケストラ。
19時20分開始とプログラムにあったが、どうやらそれより早く始まる模様。
ピアノが目の前の席に移動。ファンとしてはやはり、板橋さんが弾いている姿、できるだけ近くで観たいのだ。

実は私、「オーケストラ」も初めて。
果たしてどんなステージが展開されるのか。期待に胸が高まる。

ミュージシャン登場。
舞台に向かって前列左から、太田恵資(vln)、板橋文夫(p)、村井祐児(cl)、林栄一(as)、片山広明(ts)、吉田隆一(bs)、田村夏樹(tp)、福村博(tb)と並び、少し下がった位置に井野信義(b)、小山彰太(ds)、翁長巳酉(per)。

さすがに舞台が狭く感じられる。とりわけテナーの片山さん、デカイ(噂には聞いていたが、デカイのはガタイだけではなく、吹き出される音量も相当のものだった)。
演奏は、定番といえるソロの披露から始まったが、のっけから熱気溢れる演奏。むろん板橋さんも、激情を鍵盤に叩きつけるようなプレイで聴衆を引き込んでいく。
凄い、凄いと思っているうちに、いつしか私もすっかり引き込まれていた。

その後は、混沌としたフリージャズ的アンサンブルあり、ホーンのバトルのような展開あり、そしてじっくり聴かせるところは抑え目にと、融通無碍を絵に描いたような演奏が繰り広げられ(ことに田村さんの独特なトランペット奏法は個性的なメンバーの中でも一際目立っていた)、私はすっかりこのオーケストラに魅せられてしまった。

かつて私、「AACM」や「アート・アンサンブル・オブ・シカゴ」、そして故レスター・ボウイのレコードをよく聴いていた一時期があって、ライヴの最中、彼らのジャズがふと頭をよぎったが、このオーケストラの演奏には、前述のグループには乏しかったエンターテイメントの要素が含まれていて、聴き手を飽きさせることがない。そこが大きな違いであろう。

その他、一見野放図に見えて、まとめるところはしっかりまとめる、コンダクターとしての板橋さんの手腕にも感心させられた。ソロを指示する手つきはかなり荒っぽいが、それがピタリとはまるのだ。
そして、このステージではゲストとして登場したカルメン・マキさんの歌唱も、前のステージ同様素晴らしいの一語。
すでに一ステージ終えリラックスされたのか、堂々とした歌いっぷりが、印象に残った。

そんなこんなで開演から1時間半ののち、この上なく楽しく聴衆を圧倒した、板橋文夫オーケストラのステージ、終了。
しかし、客席が明るくなり、閉演のアナウンスが流れても、拍手が鳴りやまない。
私も、こんな形でしか感動を伝えられない、とばかり手を叩き続ける。

すると、板橋さん再登場。場内大拍手。
腕時計を指す仕草をしたあと、おもむろにピアノに向かって弾き始めたのが、「フォー・ユー」。
今日初めて、私の知っている板橋さんのオリジナルを耳にして、ただただ嬉しく、思わず涙腺ゆるむ。

一人二人とメンバーが舞台に戻ってきて、最後には全員の演奏となり、フィナーレ。
終了時刻20時45分。

* * *

JR関内駅まで、夢から醒め切っていないような状態でボーッと歩き、電車に乗ってから、かなりお腹が空いていることに気がついた。
最寄り駅でラーメンを食い、帰宅22時。

娘はすでに寝ていた。
パジャマ姿で、どうだった?と訊く妻に「もう、こたえられなかったよ」と答えて、自室に。

そして私は焼酎をロックで飲りながら、CD『時には母のない子のように 2007』を何度も聴きかえし、夜更けまで感動の余韻にひたったのだった。
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by kreis_kraft | 2007-10-16 20:41 | ジャズ