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by KK

カルメン・マキ×太田恵資×板橋文夫@横濱ジャズプロムナード2007

息せき切って関内大ホールに駆け込んだのは、17時10分くらいだった。
つい先ほどまでいた、横浜みなとみらいホールでの「SUNDAY JATP」、それを聴くために結構並んだので、17時30分開始予定の「カルメン・マキ(vo)×太田恵資(vln)×板橋文夫(p)」のステージには、きっと大勢の聴衆が集まるにちがいないと思った私、馬車道駅から関内大ホールへ、急いだのだった。

すでに場内はかなり埋まっていたが、幸いにも、ステージに向かって右手前の席がひとつ空いていた。
ホッとしてそこにリュックを置き、ロビーで行って額の汗を何度も拭った。
そして、動悸が治まって来るのと反比例して、ついにこのトリオの演奏を聴く機会が巡ってきた喜びが、じわじわと湧き上がってきた。

*

私にとってこのステージこそが、「横濱ジャズプロムナード2007」最大のお目当てであった。
マイフェイバリットピアニスト・板橋文夫カルメン・マキの共演である。

といっても、前から、このメンバーでツアーを行っていることは知っていた。
なかなか都合が合わず、一体どんなステージを展開しているのだろうかと興味津々ではあったが、未見のまま今日まで来てしまったというわけである。

17時30分、板橋・太田両名登場。
考えてみれば板橋さんのお姿を拝見するのも久しぶりである(いつ以来かは思い出せないが)。
初めてライブを聴いたのが79年だから、もう28年も経つのか…と感慨に耽るいとまもなく、フリージャズ風の音の応酬から、ステージは始まった。

辛うじて確保した席は、ピアノと板橋さんをほぼ真横から見ることができる、絶好の位置。
激してくると、イスから腰を浮かせ、鍵盤に指や掌や手刀を叩きつける演奏スタイル、全く変わっていない。
もう50代半ばを過ぎているのに、のっけからこんなに飛ばして大丈夫なのかといった、私のかすかな危惧は、徐々に熱を帯びる演奏を前にして、いつしか消えていった。


2人の激しい音のやり取りが途中、ふと鎮まった。
その時、カルメン・マキ、すうっと舞台に登場。
万雷の拍手。

私、あの「時には母のない子のように」の歌い手が、そしてあの「カルメン・マキ&OZ」のボーカルが、目の前にいると思っただけで、鳥肌が、ざわっと。

そんなわけで、ただマキさんの歌う姿を凝視しているうちに、いつしか最初の曲は終わってしまった。

その後も、3人で繰り広げられるライブパフォーマンスに釘付け。どの曲がどうのといった細かい論評など、とても私にはできないが、マキさんのひそやかな語りから始まる「虹の彼方に」には、本当に驚かされた。
愛らしい旋律が単に甘美に流れることを拒絶するような板橋さんの不協和音の連打によって、ホール全体に異様な緊張感が醸し出されていたことが忘れられない。そしてその緊張感とは、「これから何が起こるかわからない」「どんな音楽になるかわからない」といった、先の見えない不安と呼ぶに近いもので、ライブでこれほどスリリングな気分を味わったことは、いまだかつてなかったと言っていい。その意味で、この「虹の彼方に」は私にとって、まさに至福の音楽体験であった。
「時には母のない子のように~サマータイム」も素晴らしかったが、私には「虹の彼方に」が、2日たった今でも、耳に残って離れないのである。


ステージ終了後、同じ会場での「板橋文夫オーケストラ」の開演を待つ間、CD即売コーナーへ赴き、『時には母のない子のように 2007』購入。
このユニットによる初のCD。まだ市場に出回っていない先行発売とのこと。
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「虹の彼方に」も「時には母のない子のように」も収められている。ライブ盤ということもあり、2日前のステージと重なって、聴くたびあの衝撃が甦ってくる。このエントリも、エンドレスで流しながら書き上げた。
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by kreis_kraft | 2007-10-09 10:38 | ジャズ